相続に影響を及ぼす相続欠格とは?相続廃除との相違点についても解説
- この記事のハイライト
- ●相続欠格とは民法891条によって定められている欠格事由に該当した人物が相続権を無条件に剥奪されること
- ●相続欠格に適合すると遺留分の請求もできない
- ●相続廃除とは相続させたくない人物に対して被相続人が自分の意思で相続権を奪うこと
相続が発生すると、亡くなった方が所有していた財産は、相続人が引き継ぐのが基本です。
ただし、相続欠格となってしまった方は、遺産を相続したり遺留分の請求もできないため注意が必要です。
そこで今回は、相続欠格とはどのようなものなのか、適合する場合に相続権はどうなるのか、また相続欠格と相続廃除の相違点について解説します。
伊勢原市、平塚市、厚木市、秦野市を中心に神奈川県内全域および東京都内で不動産の相続を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
相続に影響する「相続欠格」とは?
冒頭でもお伝えしたように、相続欠格は相続手続きに大きな影響を及ぼします。
まずは、相続欠格とはどのようなものなのか、その概要について解説します。
相続欠格の概要とは
本来、相続については、民法によって相続人の範囲や順位、相続する割合などのルールが定められています。
したがって、遺言書がない場合は、そのルールに沿って相続手続きをおこなうのが基本です。
ただし、民法891条において、相続人の権利を欠格する事由に関してもルールを定めています。
相続欠格とは、民法891条によって定められている欠格事由に適合する行為をした相続人の相続権を剥奪する制度です。
つまり、相続欠格になると、親などの遺産を相続できなくなるのです。
相続欠格とされる5つの事由
民法891条で定める欠格事由は、以下の5つです。
- ●故意に被相続人やほかの相続人を死亡させた、または死亡させようとした
- ●被相続人が殺害された事実を知っていたのに告発しなかった
- ●被相続人を恐喝もしくはだまして遺言の取消や変更を妨害した
- ●被相続人を恐喝もしくはだまして遺言の取消や変更をさせた
- ●遺言書の偽装や破棄、隠蔽をおこなった
被相続人の死亡に関する事由は、殺人罪に問われるような事件性のあるものだけでなく、たとえば介護が必要な親に、故意に食べ物を与えなかったといったケースも含まれます。
殺害の事実を告発しなかったケースでは、それを知っていた方が幼い子どもであったり、精神疾患などで判断能力に欠けていたりといった場合は対象外です。
また、殺害者が配偶者や子、孫の場合は適用外となります。
遺言に関する事由については、不正に遺産を取得することを目的に行動を起こした場合が挙げられます。
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相続欠格に適合すると相続手続きはどうなるのか
では、相続欠格者になってしまうと、相続はどうなるのでしょうか。
また、取り消すことは可能なのでしょうか。
そこで次に、相続欠格が相続に与える影響と、宥恕(ゆうじょ)について解説します。
相続欠格による影響
相続欠格に適合すると、以下のような状況になります。
- ●相続・遺贈を受け取れない
- ●遺留分の請求ができない
- ●子どもが代襲相続人となる
具体的にどうなるのか、順番に解説します。
相続・遺贈を受け取れない
相続欠格者は、無条件で相続権を剥奪されるため、相続や遺贈を受け取ることはできません。
前章で解説した事由に適合する場合は、無条件で相続欠格者となります。
被相続人が遺言書で遺産を引き継がせると指定していたとしても、相続権はなくなります。
また、本来は、相続発生時に遺言書がなく、法定相続分以外の割合で相続する場合は、遺産分割協議をおこなって遺産の分割方法を決めるのが一般的な流れです。
しかし、相続欠格者は、遺産分割協議に参加することもできません。
遺留分の請求ができない
遺留分とは、被相続人の配偶者、子(代襲相続人も含む)、父母などの直系尊属が最低限受け取れる遺産の割合のことです。
遺留分について侵害された方は、遺産を多く受け取った相続人に対して、遺留分侵害額請求をおこなう権利があります。
しかし、相続欠格者はその権利も失います。
子が代襲相続人となる
相続欠格者に子がいる場合は、子が代襲相続人となります。
たとえば、被相続人を死亡させた場合、その殺害者の子は遺産を受け取れるのです。
相続欠格者が親を殺害したとしても、子に罪はないということで、代襲相続が認められています。
宥恕(ゆうじょ)された事例もある
宥恕(ゆうじょ)とは、寛大な心で罪を許すという意味です。
相続欠格は、原則として取り消せません。
しかし、被相続人が宥恕(ゆうじょ)し、相続欠格が取り消された事例もあります。
ただし、この事例は裁判によって認められた稀なケースです。
「被相続人が許してくれれば相続できる」といった簡単な問題ではないため、相続欠格の回復について知りたい場合は、弁護士に相談してみると良いでしょう。
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相続に関して相続欠格と相続廃除はどう違うのか
相続権を剥奪する「相続廃除」という制度があります。
相続権を失うという意味で相続欠格と似ているため、混同される方も少なくありません。
そこで最後に、相続廃除の概要と、相続欠格との相違点について解説します。
相続廃除の概要とは
相続廃除とは、遺留分を有している人物を、相続から外す制度です。
相続廃除は、被相続人が自分の意思でおこないます。
生前の場合は、家庭裁判所に申立て、審判を受ける必要があります。
また、遺言で意思を示すことも可能です。
なお、相続欠格と同様、代襲相続が適用されるため、相続廃除された人物に子がいる場合は、その子が代襲相続人となります。
相続廃除の条件
相続廃除の条件は、以下の2つです。
- ●被相続人に対する虐待や重大な侮辱がある
- ●推定相続人にそのほかの著しい非行がある
具体的には、被相続人に対して暴力をふるったり、耐え難い精神的な苦痛を与えたりした場合や、被相続人の名誉や感情を著しく害する行為をおこなった場合です。
また、虐待や重大な侮辱には当てはまらないものの、遺留分を受け取る権利を剥奪するのが正当であると考えられるような行為をおこなった場合も、相続廃除が認められる可能性があります。
たとえば、被相続人の財産の浪費、素行不良、行方不明などが該当します。
相続欠格と相続廃除の相違点
2つの大きな違いは、被相続人の意思によるものかどうかです。
前章で解説したように、相続欠格は、対象となる事由に当てはまった時点で、無条件で相続権を失います。
相続廃除は、相続させたくない人物に対して、被相続人が自分の意思で相続権を奪うことです。
また、相続欠格は、原則として取り消すことができません。
宥恕(ゆうじょ)されたとしても、相続権が回復するわけではなく、生前贈与や生命保険の受取人といった方法で財産を受け取ることは可能です。
一方、相続廃除は、被相続人本人の意思であとから取り消せます。
相続廃除を生前に取り消す場合は、被相続人が家庭裁判所に申立てなければなりません。
遺言で取り消す場合は、遺言執行者が家庭裁判所に申立てることになります。
そして、相続廃除の取消が認められれば、相続権が回復します。
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まとめ
相続において、相続欠格の5つの事由に適合する行為をおこなった人物は、無条件で相続権を剥奪されます。
相続欠格者は、相続や遺贈を受け取れなくなるだけでなく、遺留分の請求もできません。
また、相続権を奪う相続廃除という制度もありますが、被相続人が自分の意思でおこなうことや、取消が可能であることなど相続欠格とは異なるため、しっかり理解しておくことが大切です。
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